背景画屋さん

脱衣場から見ると、浴槽の向こう側の壁に描かれている手描きのペンキ絵。富士山をイメージする人が多いですね。

背景画屋さんはお店に着くと、まず浴槽の上に足場を組みます。そして、準備ができると絵を描き始めます。

私が印象に残っているのは、背景画屋さんが、いきなり元の絵の空の部分に、緑色のペンキで5か所ほど各々離れた位置に塗ったことです。その後、またおもむろに茶色のペンキを塗りました。下書きのようなものはありません。

それから、二時間もしないうちに、大きな背景画は別の絵として完成しました。松島の風景ということで、絵の下の隅に書いてありました。

背景画屋さんが言うには、何枚も自分の描ける絵があって、描くときに決めるそうです。あの大きな絵を、下書き無しで、いきなり本番です。そして男側と女側で、2枚の絵を仕上げていきました。

これだけ大きな変化ではあるのですが、なぜだか、お客さんで背景画が変わったことに気づいて、店のものに言う人はほとんどいません。ペンキの匂いで気づく人がいたかもしれませんが。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。