身長計が置いてあった話

昭和の終わりの風呂屋には、大きな体重計がありました。
乗ると、丸いメモリのある円盤が目線の高さにあって、
ガラスの向こうに長い針がぐるりと回って体重を指し示す、ごつい鉄製のアナログのものでした。

そして身長計もありました。
こちらは台の上にまっすぐ立って、上から板をおろして頭上で止める、木製のものでした。大体は新規開店の際に同業の親戚からの寄贈だったようです。

身長計の活躍ぶりはというと、食べ過ぎて体重を気にする人はいても
身長を気にする人はあまりいなさそうです。
でも体重計の故障は少ないのですが、身長計の故障は度々起きていました。
上から下ろす板を吊るすヒモが摩耗して、切れてしまうようです。

身長計は体重計を使う人よりは、うんと少ないのですが、
一部に人気があります。
親子連れで入浴に来た人達、特に子供さんが小さいと
身長も体重も計ったりしています。
特に季節のお風呂、菖蒲湯などはそういう光景がよくあります。

あとは成長期の男子。ぐんぐん伸びる時期には夏休みの初めと終わりでは
数センチ伸びている場合もあり、計る楽しみになっているようです。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。