ちょっとした事件簿 その2

「ロッカーの鍵をなくしてしまいました。」というお客さんからの申し出は、結構よくあります。こういう時は、店の者が一緒に探します。そして、ほぼ100%見つかります。

ある日のこと。
入浴を終えた中年男性。帰ろうとしたところ、下駄箱の鍵がないことに気がついて、カウンターに戻ってきました。

下駄箱の鍵なので、木製で、数字が大きく「5」とか書いてある札のタイプです。手のひら程の大きいサイズですね。

それで、店の者が一緒に、鍵がありそうなところを探しましたが、出てきません。ロッカーの中や、脱衣場の物陰、洗面器の中とか。やはり出てきません。

しかし、下駄箱の番号は覚えているとのこと。
そこで、風呂屋の親父さんが、入浴中の人にひとりひとり、下駄箱は何番を使ったか聞いて回りました。

すると、なぜかその同じ番号を使った人がもう一人、見つかりました。

その人から鍵を預かり、下駄箱を開けると、サンダルとスニーカーが、重なって入ってたということです。

(ある人がスニーカーを入れ、鍵を取り忘れて店に入る
 →後から来た人が、中に入っているとはつゆ知らず、上からサンダルを入れ
  鍵を取ったんですね。
 でもこういうことは意外とよくあります。)

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。