料金表のトラの巻

「トラの巻」と勢い余って書きましたが、「料金早見表」の方が合ってるかもしれませんね。ただ、普段お客さんには見せませんので、非公開物=トラの巻、と呼んでいました。

銭湯に家族連れで来ることが多かった頃は、料金を一人ずつ払うのではなく、家族全員分を一度に(大抵はお母さんが)払っていました。

例えば、お客さんが「大人3人と小学生が2人と幼児1人」と番台にいる私に告げます。
複数人の料金の算出は、暗算でやるにはやや難度が上がります。

こんな時に役立っていたのが「料金早見表」です。大きさはタテ15cm、ヨコ10cmくらいの厚紙で、手作りです。様々なバリエーションの家族の組み合わせで、合計金額を記載してあります。

先ほどの例でいうと、大人3人の列の、中人2人、小人1人の欄を見れば、そこに合計金額が示されていますので、すぐに家族全体の料金がわかります。これさえあれば、どんな組み合わせの家族が来ても大丈夫! そう思っていました。

ところが、家のお風呂が普及するとともに、家族で銭湯に来ると言うことが少なくなり、料金早見表は、料金が改定されても、我がお店では新しく作られなくなり、いつしか出番がなくなってしましました。

そして、その代わりに電卓が置かれました。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。