銭湯から銭湯へ引っ越し

ある時、私たち家族は銭湯を借りて、営業することになりました。
業界では「預り」と呼ばれています。持ち主が営業しないで、他の人が営業するのです。
借りている方が家賃を払う場合と、給料制とあります。

主人と私と、保育園の年少組に入園したばかりの娘の、3人は知らないお風呂屋へ引っ越して行きました。銭湯は持ち主である、大家さんの家の敷地内にありました。

銭湯の引っ越しは、休業日の1日で行われます。
家具などの荷物の出し入れはもちろんのこと、昨日まで仕事をしていた人から、仕事の引き継ぎもこの1日の中で行われます。

どうやら、後日改めて聞くというようなことはないようです。しかし、この引き継ぎに半日以上かかります。

それが完了してから、荷物の搬入になります。次の日からは、この店が通常通り営業できるようにしなくてはなりません。
(連休の無い時代でしたので、全て1日で完了する必要がありました。今でいうと、ブラック企業的な作業量ですが、時代がそうでしたね)

とにかく主人は、どんな店か、どのような所なのか見に来ていましたが、私も娘も引っ越しのトラックの助手席に乗って、突如連れて来られたという記憶です。

昨日までのお店とは違うお店で、何がどんな風になるのだろうか。そんなことを思う余裕さえなく、慌ただしい1日が過ぎていき、翌朝にはお風呂屋の開店のための、準備が始まったのでした。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。