お兄ちゃんとジュース

ある日のことです。

お風呂に入って、いい気持ちでロビーに集まった家族の方々。ママと4歳位の娘さんが先に来ていて、ソファに座っていました。少しして、パパと小学1年生のお兄さんが来ました。

「何でも好きなジュース飲んでいいよ。」とパパが言うと、娘さんは早々に、やさしい炭酸飲料なっちゃんを選んで、買ってもらいました。とてもニコニコしています。

お兄ちゃんは何にするのかなと思っていたら、だいぶ迷って、なかなか決まりません。しばらく、どれにしようか考えあぐねていました。

ようやく、これだ!と決めて取り出したのは、なんと「トマトジュース」。小学生が渋いセレクトです。

パパもママも、「え?」と驚いていました。トマトジュースの横には、いちご牛乳もあるのに、それでもトマトジュース?

ママはお兄ちゃんに、「それでいいの?」と確認しましたが、お兄ちゃんは「うん」と答えました。

こうして、妹ちゃんとお兄ちゃんは、2人仲良く飲み物を飲み始めました。

でもお兄ちゃんは、ただひと口飲んだ後、難しい顔をして、すぐママにトマトジュースを渡しました。

それから妹ちゃんのなっちゃんを羨ましそうに見て、「アイスを買いたい」とパパにお願いしました。

風呂上がりにトマトジュースが美味しくなるには、まだまだ若過ぎたようです。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。