私たちが営業していた銭湯は、男湯と女湯の境を軸にして、ほぼ左右対称な間取りになっていました。でも大きな違いは、女湯には大きなドライヤーがあるところです。
それは、両肘付きの椅子に座り、大きなヘルメットのようなお釜を頭にかぶって、髪を乾かすドライヤーです。サイズ的には顔を全て入れることもできますが、大抵鼻下ほどまでかぶります。なんとも豪快な形・仕組みです。
昔は美容院でもこれに似た形のものが使われていました。
両肘の一方は、コイン投入口があり、もう一方はパワーの強弱と、温風冷風のスイッチがあります。椅子の高さから、どちらかというと、大人向けのドライヤーです。
女湯の脱衣場に入ると、家にはありえない、お釜型のドライヤーがドーンとそこに置いてあるのに目がいきます。小さな子たちは、まず、お釜型ドライヤーに座ったりして、はしゃぐ様子がよく見られました。お風呂上がりにお母さんの手を借りて、それで髪を乾かすのもとても嬉しそうです。