鍵付きロッカー以外に、大きなカゴが置いてあった話

銭湯ののれんをくぐって、下駄箱に履物を入れ、ガラッと扉を開くと、
「いらっしゃいませー」と番台の者が声を掛けます。
お客さんはそこで料金を払って、「脱衣場」に入ります。

今はどこでも鍵付きロッカーが主流ですが、
昭和50年代、そこにはカゴが置かれていました。
脱衣用のカゴとは、籐で編まれた直径80cmほどのお椀型のカゴです。
たいていのお客さんは脱衣カゴを置いて、衣類の脱ぎ着をしていました。
カゴの一番上にはバスタオルを半分に折ったものか、風呂敷を掛けます。
お客さん同士は顔なじみなので、脱衣カゴを見ただけで、誰が来ているのか分かるというのも、今となってはほのぼのとした光景です。

お店が開いてから、脱衣場ではどんどん使用中のカゴの数が多くなって、一番混む時間帯では、自分のカゴの位置が徐々に動いていって、お風呂から出た時に自分のカゴを探す、という場合もありますが、それはもう慣れですね。

関東近郊の銭湯をやること約半世紀。全部で4軒のお店を渡り歩いて来ましたが、最後は20年間腰を据えて、町の変わりゆくのを番台から眺めておりました。 ブログは主に女将が担当しております。子供は3人。