引っ越しの翌日、朝目が覚めて最初に思ったことは、今までの家ではなくて、新しく越して来た家なんだ、ということです。そして、大きなお風呂場があること以外は、今までと勝手が違う家の中で動き始めます。
とにかく、「このお風呂屋の、いつもの時間通りに開店させる」為に、一所懸命だったように思います。
そして、開店の時間が来ました。お店の前には10人くらいのお客さんが待っていました。みんな今日から新しく営業人が替わることを知っているようでした。入ってきた人ひとりひとりに「よろしくお願いします」と挨拶しました。
「どこから来たの?」「家族は?」などいくつも質問されます。この地域でのミニニュース発生といった感じです。
私には直接聞きませんが、「いくつくらいかしら・・・」というのが1番知りたいことだったかも知れません。
後日、大家さんが「近所の人から『お宅の娘さん、いいお婿さん連れて戻って来たね』って言われた」と話してくれました。いつの間にか、お客さんの中では、私はここの銭湯の娘になっていました。